ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「ま、いいや。蔦山さんのお父さん、今どこに居るか知ってますか? 俺そっちも当たるように一課のヤツに言われて…」


「あのクソメガネだろ? あいつ人使い荒いんだよ、今後は旨い事断れよ。」


「はい、そうします。」


 塀の中の人間からのアドバイス、ありがたく真摯に受け止めます。


「あんな糞みてぇなヤツ、どこでどうしてようと俺の知ったこっちゃないね。どっかその辺で野垂れ死でもしててくんねーかな。」


「父親になんか恨みでもあるんですか?」


 俺がそう聞くと、突如、蔦山さんは身を乗り出して、アクリル板のブツブツ開いた穴のとこに、今にも口付けする勢いで顔を近づけた。


「俺から言わせりゃなぁ有坂、お前の父親なんざ、全然マシなんだよ。」


「あのクソ親父、俺を殺そうとしたんだぞ!? それ以上に酷い父親が、この世に存在するとは思えないね。」


「殺られそうになったのがなんだってんだよ!? お前、それまではどうだったんだ!? 言ってみろよ。母親や兄貴に可愛がられて、ぬくぬくやってきたんだろーが。」


 何も言い返せなかった。


 ただガキみたいにふて腐れて、蔦山さんを睨みつけていた。


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