ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】


 上着のポケットから、30メガネに渡されたメモを取り出し、勝手に日置の車のナビを操作する。


「何やってんのよ!?」


 日置が訝しげに俺をチラ見しながら言った。


「ここで降ろして。」


 俺がそう答えると同時に、目的地周辺地図が画面上に出現、俺は『目的地に設定する』という文字に人差し指を当てた。


「なんでよ!? ふざけないで! 私はねぇ、すごく忙しいのに、あんたごときを迎えに来てやったのよ。すぐ戻んないと…」


「ここから30分もかかんねぇし。ケチくさいこと言うなよ。」


「有料道路を通って、30分!」


「え? そうなの?」


「そうなの!」


「料金は一課に請求して。」


「あんたが請求して、あんたが私に払いなさいよ。」


「じゃあいい、ここで降ろせ。」


 もうここまでくると売り言葉に買い言葉だ、埒が明かない。


 俺がふて腐れてそう言うと、不意に日置は黙り込んだ。


< 159 / 305 >

この作品をシェア

pagetop