ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「降ろせよ。」


 もう一度言いながら、日置の横顔を窺うように見る。


「あんたってほんと、ガキなんだから。我侭で、自分勝手で、思い通りにならないと、すぐ拗ねる。」


 溜め息交じりに日置が呟いた。


「迎えには… 絶対行かないから。」


 日置は不服ながらもしぶしぶ承諾した。


「案ずるな、日置。これ、谷口さんに渡して。」


 手にしていたメモを軽く折り曲げ、ドリンクホルダーに差し込んだ。


「だから! どうしてあんたって、そうやっていつもいつも他力本願なのよ!?」


「意味わかんねぇ。俺、四字熟語苦手。」


「あんたの脳ミソ、一体いつ使われてんの?」


「常にフル稼働ですけど!?」


「定期的に使わないと、皺なくなるよ!?」


「俺、ことわざも苦手。」


「ことわざじゃない!」


 車中では、そんなやりとりが延々と続いた…




< 160 / 305 >

この作品をシェア

pagetop