ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「まどかはあの直前、あんたに利用され、殺されることを薄々感じていた。

 まどかなら、いくらでも回避できた、あんたなんかに殺されずに、どこかに身を隠してでも、生き延びる選択肢だってあった。

 けれどもそれをしなかった。それをしなかったのは……


 それでもあんたの傍にいたかったんじゃないの?」


 蔦山の脳裏に、あの時の光景が鮮明に蘇る。


 銃口を向けた蔦山に、まどかは微笑んだ。


 両目から、ポロポロと雫を止め処なくこぼしながら、微笑んでいた。


「私は、まどかの姉だけど、まどかじゃない、だから断言はできない。
 でも……


 まどかは、あんたに殺されるのが、自分じゃなきゃ嫌だったんじゃないかしら……」


 悔しいはずなのに、辛く悲しいはずなのに、理沙は涙一つ見せず、無表情のまま淡々と語った。


 蔦山は、ようやくまどかのあの最期の微笑みの意味を知る。




『私を選んでくれてありがとう……隆治……』




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