ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「出ろ、皆人」


 兄貴は前方を凝視したまま、震えるそれを取り出し俺に差し出した。


 いつもの命令口調に益々不機嫌になりながらも、言われるまま携帯を受け取り耳に当てる。


「只今、龍一くんは運転中の為、電話に出ることができません」


 留守番電話サービスのアナウンス調で、電話の相手に伝えてやると、


「皆人? 人質は無事救出したわ。今、蔦山隆治がそっちに向かってる」


 聞きなれた女の声、理沙だ。


「何のために?」


 俺が聞き返すと、しばしの沈黙の後、


「あんたたちの応援よ」


 予想外の答えが返ってきた。


「そんなもん信用できるかよ。理沙、あんた、みすみす取り逃がしたのを誤魔化そうとしてんじゃねぇだろうな」


「信用できるわ。信用しなきゃ、まどかが報われない」


 ここで何故、まどかさんを出してくるのか。


「まどかの死を無駄にしないで」


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