ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「意味わかんねぇ」


 俺が呟くと、兄貴が横から口を挟む。


「理沙、なんだって?」


「人質救出完了、蔦山さんは今、俺たちの応援のため、こっちに向かってるって」


 理沙との電話は繋がったままだが、携帯を耳から少し離し、兄貴に伝えた。


 兄貴は一瞬の沈黙の後、


「信用できるかどうかは、あいつの動きを見てから判断しても遅くはない」


 何でもないことのように言い放つ。


「遅いわ! あのヒト、相当頭切れるしね」


 慌てて言い返すも、兄貴はなんら動じることなく、


「『俺』よりもか?」


 などと自信満々の魅惑の笑みを俺に向ける。


「それは……」


 つい口篭ってしまった。


 嫌だね、そんな博打、乗れるかよ、『安全第一 楽しい作業』が俺のモットーだしね。


< 273 / 305 >

この作品をシェア

pagetop