ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 その場に取り残された俺は、兄貴と引き換えに命拾いした尺取り少年を、恨めしそうに見やった。


 安心したのか、少年の目から涙腺が破裂したんじゃないかと思うほど、勢いよく涙が溢れ出した。


 そうだよな、この幼い彼には何の罪もない。


 悪いのはあいつら、尾藤グループと…


 まだ何も始まっていないのに、戦う前から早くも諦めてしまった兄貴だ。


 兄貴、俺は許さねぇ、約束は守ってもらうぞ。


 絶対に兄貴は死なせない。


 だから、兄貴の言葉はみゆっちには伝えないからな、覚えとけ。


 俺は少年の口のガムテープを剥がし、手の拘束も解いてやり、兄貴の車に乗るよう促した。





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