空に叫ぶ愛
「愛も行こう。遅くなったら危ないけん」


「……うん」



茜空も少しずつ暗くなって来ていた。


なんだか名残惜しい気もしたけれど、遅くなって暗くなるのも嫌だ。


来たくなったら、もう一度来ればいい。


二人で家路を歩く。


さっきまで川の水に濡れて気持ち良かったのに、もう夏らしいジメッとした汗が滴り出る。


暑い…



「愛」



名前を不意に呼ばれ、空を見る。



「最近よく笑うようになったやん?」


「そ、そう?」


「うん。なんか見よって嬉しい…」



空?



「なんでやろ……」



そんなこと言われたら…


期待しちゃうよ。


無駄な期待させないで。



なんて。



本当は嬉しかったりするんだよね。
< 114 / 374 >

この作品をシェア

pagetop