空に叫ぶ愛


なんで、こんなことになってるの?


空の上に馬乗りになっている翔。


その翔は空の胸ぐらを掴んで何か文句を言っているようだ。


現実を見ようとしていない私の耳はそれを受け付けなくて、何を言っているのかわからない。



みんなの声も、

翔の怒った声も、

若菜の泣き叫ぶ声も、



全てにエコーがかかったみたいで。


ただ、蝉の狂った鳴き声だけは真っ直ぐ頭に響いていた。



そして翔が拳を振り上げて……




──ガツッ…!






翔が空の頬を力強く殴った。





あぁ、神様。

私がそんなに嫌いですか?



私って、生きている意味、あるのかな。



どうしてもっと上手に生きられないんだろう。



もし、不幸になるためだけに生まれて来たのなら私は



生きていたくない。




生まれて来なければよかった───…

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