空に叫ぶ愛

「こらー！お前ら何やっとうか！！」



担任である浜田先生の怒鳴り声が聞こえて私は現実に戻る。


浜田先生の手によって引き離される二人。


空を心配するように近寄る若菜を見て、顔を出す醜い感情。


もう、嫌だ……


涙はツーといつの間にか流れていて、止まりそうにない。



「二人とも、生徒指導室に来い！」



浜田先生はそう言うと二人を連れて行った。


空の口元は切れているようで痛々しく血が出ていた。思わず目をそむける。


重い空気にクラスのみんなが黙っていた。


こうゆう時、いつも空気を和ませていたのは翔だったから。



「愛ちん……」


「………」



助けを求めるように不安そうな声を出す若菜に声もかけてやれない。


ううん、違う。


声をかけないんだ。