空に叫ぶ愛

顔を手で隠している空に聞こえないように私はため息をもらす。



「別にいいよ。私、歩くから」



そう言って歩き出す。


そうよ。別に私は空に運んでもらおうなんて思ってないんだから。


ただ、道案内さえしてくれれば……



「愛!」



ビックリして空の方を向く。



「はよ乗れ…」



空?



「無理しなくていいよ」


「無理なんかしとらんっ、はよ乗れって」



なんで?

なんで初対面の私にそこまで…


――…優しすぎない?
< 16 / 374 >

この作品をシェア

pagetop