空に叫ぶ愛
「そうやね。じゃ、行こっか」



頭をかきながら立ち上がる空に続いて私も立ち上がった。


下に行くとおばあちゃんが台所に……


台所に……いない。


不思議に思って空と顔を見合わせる。


トイレかな…?


もう一度、台所を見るとおばあちゃんを見つけることが出来た。



───…床に倒れ込んでいるおばあちゃんを。



「おばあちゃん!?」


「島ばあ?!」



急いで、倒れ込んでいるおばあちゃんに駆け寄る。



「おばあちゃん?おばあちゃん!しっかりして!おばあちゃんっ!!」



体を揺すってみるけど、おばあちゃんは苦しそうに顔をしかめるだけだ。



「島ばあ!?……愛っ、救急車!」


「う、うん!」



私は急いで電話を耳に当てた。


倒れているおばあちゃんの近くには、私のバースデーケーキであろうケーキが落ちてあった。


まるで、最悪の誕生日と言わんばかりに。
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