空に叫ぶ愛
『間もなく△△△駅。間もなく△△△駅』
あ、降りなきゃ…
電車が止まったのを確認して、スーツケースを引きずりながら電車を出た。
「あつ……」
いっきに照りつける眩しい太陽に、私は眉間にシワを寄せた。
これが6月の気温なのだろうか…
雨が降らなかったからまだ良かったけど。
周りを見渡すと緑。
どこを見ても緑だった。
駅もボロいし…
草も、ぼうぼう…
……本当にド田舎だな。
小さい頃に遊びに来たことがあるらしいんだけど、あまり覚えていない。淡く、何となくだけしか。
高校生にもなって幼稚園の頃の記憶を思い出せと言う方が無謀だと思う。
――ガタンッゴトンッ…
私が乗っていた電車が再び走り出した。
その時。
「愛?」
後ろから私を呼ぶ声がした。
腰を少し曲げたふくよかでシワシワのおばあちゃんが優しい笑顔でこちらを見ていた。
おばあちゃん……?
突然のことで戸惑いながら、小さく頭を下げた。