空に叫ぶ愛

「お願いだから黙って…」



そう言うと私は空の口から手をどかした。


なに恥ずかしいこと言っちゃってんの?



「照れとうと?」


「……」


「はいはい。黙りますよー」



どう聞いても馬鹿にしてるようにしか聞こえないんですけど。


しばしの沈黙…

だけど不思議と辛くない。


むしろ心地いい…?


なんて思ってる私ってやっぱり頭がおかしくなっちゃってない?大丈夫?


そして「スースー…」と聞こえてきた、規則的な呼吸。


……って、寝てる!?



「たくっ…」



私は押し入れから毛布を引っ張り出して来ると、空を起こさないようにそっとかけてあげた。


空の寝顔を見る。


サラサラの髪に、長いまつ毛。
口は無神経に少し開いてるし……


やっぱり、空って顔かっこいい……よね?


空の健気に跳ねた髪をさわる。


なんか…変なの。


何かよくわからない、得体の知れない感情が沸き上がってくる。
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