空に叫ぶ愛

くだらないことで


まさか、こんな田舎にもいじめっ子いじめられっ子が存在していたとは…


時刻は縁側から月と星が見える時刻。


リビングのソファーに座りながら横にいる『やつ』を見た。



「ん?」


「いや、ん?じゃないし。なんで空が家にいんの?」



そうそう。

さっきから私服姿の空が私の横に座っているのが不思議でならなかった。


お風呂から上がったら空が家で晩ご飯を食べてたからびっくりしたし。



「だから、島ばぁにはお世話になっとるって言ったやん」


「言ったけど…」



理由になってないし。

まぁ、別に関係ないんだけど。


そう思い、テーブルの上にあるコップに手を伸ばした時……



「つか、愛の部屋着姿って可愛いな!」


――ゴトッ…


「ちょっと!変なこと言わないでよっ」



コップ倒しちゃったじゃない!


私はすぐに首にかけていたタオルでこぼれた麦茶を拭き取った。


……最悪。



「だって、かわ…ムグッ…」



私は手で空の口を塞いだ。
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