空に叫ぶ愛
「愛ちん…」
靴に手をかけた時、若菜は控え目な声で私の名を呼んだ。
私は顔だけを若菜に向ける。
どうしたの?
「えっと……あのね?」
「ん?」
私が体ごと若菜の方に向けると若菜は目をギュッと瞑った。
「わ、私と友達になってくださいっ!」
……へ?
そう勢い任せに叫んだ若菜の顔はすごく真っ赤だ。それはこの田舎町の綺麗な夕日みたい。
ギュッと胸が掴まれる。
「…………」
下駄箱の中の靴を下に置いて足を入れる。
なかなか返事をしない私に若菜が不安そうな表情をした。
「ごめん。迷惑やったよね」
「違う」
「え?」
違うの。