人こそ芸術 part1

僕の地下室


仕事も終わり帰宅した。

地下室へ向かう。

硝子張りの部屋には新たな自然の作品が床に寝そべっていた。

あまり体調が優れないのだろう。

なにしろ女は十日ほど前に心臓移植を行ったばかりなのだから。

病院側は大橋美鈴を探すつもりは無いようなので、多分見つからないだろう。

硝子越しに大橋美鈴を見つめる。

昨夜のことを思い出す。

・・・と言っても2時頃だったので今朝に近い。



夜中に病院に忍び込んだ。

僕は病院関係者なので、警備員に見つかっても問題は無い。

幸い警備員には会わなかった。

監視カメラの死角を通り、大橋美鈴の眠る病室に入った。

大橋美鈴は深い眠りについていた。

僕は用意しておいた麻酔薬の入った注射器の空気を抜く。

細く鋭い針の先からピュウと液が放物線を描く。

大橋美鈴が寝返りをうつ。

少し時間をおいてから布団を腰まで捲る。

腕の適当な所に注射器の針を刺す。

眉を顰めたが、更に深い眠りに落ちた。



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