猫になって君にキスをして

『いやー、シマウマ勝ちました! 史上初の快挙です!』

『素晴らしいですねぇ』

『水沢さん! この結果をどう判断されますか!?』

『シマウマだって馬ってことですねぇ』


ぜぇぜぇと息をしているシマウマが、場内を小走りに移動し始めた。


「コイツー!」

「シマウマ、おめでとー!」


場内から、シマウマに温かい拍手と声援が投げられる。

それに応えるかのように、首を上げたシマウマが、観客に首をふる。

騎手はシマウマのタテガミを撫で、涙を流していた。



「よくやったな、シマウマ」

「にゃ…」(頑張ったな…)

「シマウマさん…」

「俺、何か勇気付けられた感じ…」

「…し……シマウマ……」


列車内にも涙が溢れた。

感動と興奮、心地よい一体感が3両目を包み込んでいた。


頑張っているものは美しい。

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