愛しいわがまま。

明後日は記念日。

私と遥が付き合ってからちょうど1年になる。




「どこでもいーよー」


「………」

私がそう言うと、遥は呆れたような顔で振り向いた。


「そりゃないでしょ
俺楽しみにしてんだから。凌もやる気だして」


不満そうに私の頬をつまむ。



「……、イタイ」


「やる気でた?」

「ちょーでた」


「よし」と柔らかく笑う遥に、私は解放された頬をさすりながらきゅんとする。



「で、どこ行きたい?」

「遥の行きたいところ」


「「………」」




「もっかい つまんでほしーの?」

「えぇっヤダ!」

わざとらしくニッコリの遥がまた腕を伸ばしてくるのを見て、私はとっさに少し離れる。


「だめ。逃げないで」


けど、その腕に二の腕を掴まれて
結局引き寄せられてしまった。



「………」

そんな距離で見つめられてはうまく息ができない。



「……だって、遥が楽しそうな所が私も楽しい。」


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