愛しいわがまま。


"ごめん凌"


いくら拒絶したって、目をそらしたって
苦しそうな遥の声が聞こえる。

それは私の胸を締め付けるには充分すぎるもの。



「……遥はずるいよ」


「え?」

「遥はいつもそうやって…私より苦しそうに、私より悲しそうにするから。だから私は怒ることも泣くこともできない」


「………」


「私だって…苦しくてたまらないのに」


私は無意識に遥を責める。




「…それが凌の本音?」

困ったように眉を下げて、どこか優しく笑う遥。


「…――っ」

それを見てハッとする。


(こんなはずじゃなかったのに。)


「いや、…ち、違うの。ごめん
別に遥を責めるつもりじゃ…っわ、!」


すると急に、掴まれていた腕を引っ張られて。

立ちっぱなしだった私はソファーに戻され、遥の隣に座らされた。



「なっ、……なに?」

至近距離でジッと見つめられて戸惑う。




「もっと言っていいよ」


「………は?」


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