愛しいわがまま。


「知らない人と仲良くしない。
名前教えない。名前で呼ばない。」




「……はい?」


「最近は物騒なんです。」



「ふーん」


心配してくれたわけね。



「……"ふ〜ん"じゃないだろ。」


「うん。わかったから」


遥の肩でひそかに笑顔になる私。


でもね、そろそろ
周りの視線が痛いんですよ


「離さないの?」


「離さないね。」




「…遥、自分何分遅れたと思ってんの?」

「それはっ……」


遥は焦ったように私から離れた。


「あんな待たせといて、しゃべってただけで怒られるなんて私かわいそー…」


「……すいません」


はい 私の勝ち。



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