With ~一緒に~

「で?
航平、『条件』って言ったよな?
どういうことだ?
俺が真崎を許すことが条件って意味か?」


航君は落ち着いて答えた。


「いえ、そうじゃありません。
先生が、彼の横領を口外せずに、彼にバイト代を支払うことが条件です」


「んあ?」


先生は意味がわからない、という顔で航君を見た。


一方、私は航君が『横領』と口に出したことに慌てた。


「あ、あの、あの……」


うまく言葉にならない私を、先生はいぶかしげに見た。

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