With ~一緒に~

「だが、社会に出れば、まったく育ちの違う、価値観も違う、大勢の人間がいる中で働かなきゃならない、
それは今も昔も同じだ。

大人たちは、自分らがどんなふうに子どもを育てたかなんてことは忘れて、
昔自分がやったのと同じことを若者に期待する。

つまり、うまく『人付き合い』して行くことを、な」


先生は黒板の字をコンコンとたたいた。


「そんなの無理に決まってんじゃーん」

誰かが叫んだ。


森先生はそちらを向いてうなずいた。

「ああ、そうだ。
できなくてあたりまえ。

でもな、できないと、おまえは会社をやめなきゃならないくらいのストレスを抱えることになっちまうんだよ。

そんなの理不尽だと思わないか?」


みんながうなずいた。

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