恋の種
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――――――

里緒菜が一人で学校に向かうのを部屋から見ていた。



何であんなことしちまったんだ…

何でキスなんか…


里緒菜が遠くなりそうな気がして


自分のものにしたくて



『じっ自分だって、好きでもないくせにこんなことしないでよっ』



里緒菜に言われた言葉が頭から消えない



確かに好きじゃなくても出来る

でも…好きだからしたんだ

里緒菜が好きだから



静まりかえる家の中でずっと里緒菜のことを考えてた。




♪♪♪

短く鳴った携帯の着信音に、期待したのも束の間、現実に引き戻された。





―――――――
【from】直哉
【sub】風邪か?
《今日はどしたんだ?

月曜の親睦会行くのか?
もし無理なら俺が代わりに行ってもいいぜ♪

さっき先生に頼み込んだら、代役でもいいってさ!

里緒菜ちゃんと愛を深める絶好のチャンス… 》
――――――――




親睦会か…



直哉みたいに自分の気持を真っ直ぐに伝えることが出来たらどんなに楽だろう

あいつのバカ正直さが羨ましいよ


返信ボタンを押して、本文を入力する。


《わりぃな、里緒菜も一人じゃ可哀想だし、代役頼む》



送信しようとしたら、携帯が鳴りだした。


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