六年一組、本紛失事件
15 高級マンション
「デカイな!」

 高蔵は二十階建ての高級マンションを見上げて言った。

「本当だ。デカイ、デカイ!」

 笈滝は主体性がなく、高蔵の言ったことをオウム返しで言っているだけである。

「誰の家だ?」

 子吉沢は気になっていた。

「理々の家だよ!」

 馬屋は面倒くさそうに、吐きすてるように言った。高蔵にだったら丁寧に答えたであろう。子吉沢は軽蔑の眼差しで、馬屋を見てやった。

 無反応だった。
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