六年一組、本紛失事件
「い、嫌です……」

 美紀子はさらに大泣きした。頬を涙が流れているのでウソ泣きではないようだ。

「美紀ちゃんがかわいそうです!」

 きっぱりとした口調でひとみは言って、アリスの方をにらんだ。

「ナニ?」

 アリスはにらみ返すのではなく、おちょくったように舌を出した。

「美田さんが学級委員をやればいいんじゃないですか?」

 慶子はここぞとばかりににらんだ。

「はあ?」

 アリスは寝耳に水で、慶子に向かって顔をしかめた。

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