六年一組、本紛失事件
「そ、そんな、困ります、って……」

 桃香はどぎまぎしている。ただでさえ声が小さくて聞こえないので、魚のように口をパクパクしているようにしか周囲には見えないのだ。

「先生!」

 アリスは大きく手を上げた。

「何だ?」

 高基教諭はアリスを指した。

「学級委員は林さんでいいと思います。だって、投票で選ばれたんだからふさわしいと思いま~す」

「その通りだ」

 高基教諭はうなずいた。



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