六年一組、本紛失事件
30 不気味な笑顔
 校長室には波教頭と高基教諭だけであった。

 波教頭はソファにふんぞり返るように腰かけていた。顔は怒っているかのように、眉間にしわを寄せている。じっと高基教諭をにらんでいた。

「どうも……」

 高基教諭も波教頭の目前に腰かけた。だが視線はそらした。

「君は、どういうことだね?」

「と、言いますと……」

「と、言いますとだと! 詳しく言わないと理解できないのか?」

 波教頭は興奮して、高基教諭を懲らしめようとしている。




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