六年一組、本紛失事件
「やっぱ、あいつキモイ!」

 ひとみが言うと、慶子と美紀子も同調するようにうなずき、それにつられて、女子全員も首を縦に振った。

「それと、高基先生も共犯って言うか、犯人らしいよ」

「そうか、だから、今日の先生は何かおかしかったんだ」

 ひとみはニンマリと笑って見せた。もう数分前の殺伐とした雰囲気は教室にはない。

「担任が殺人犯じゃ、この先真っ暗よ」

 慶子は他人事のように言った。

「じゃあ、これからテレビ局とかくるのかな?」

 古田はテレビ局がきたら、インタビューに答えて、テレビに映る自分を想像し、ニタニタと薄笑いを浮かべた。
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