六年一組、本紛失事件
「デスデスデス。ずっと学級委員ヨロピクね。ピクピク」

 古田は誰も笑わすことができなかった。それどころか美紀子は声を出し泣きだした。

 気まずい雰囲気だ。

 小森と美紀子は自分の席に戻るために歩き出した。

「おいおい、まだ終わりじゃないぞ」

 高基教諭は二人を呼び戻した。

「先生、何か?」

 小森は聞いた。

「他の委員も決める! 進行は学級委員がやれ」

 面倒くさそうに小森は顔をこわばらせた。美紀子は黙ったままである。

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