六年一組、本紛失事件
「す、すいませんが、ひ、ひとみさん、いや渋革さんに、か、返してください……」

「自分で返せばいいじゃないか」

 子吉沢は本を受け取ろうとしなかった。

「お、お願いします……」

 田脳は深々と頭を下げた。

「しょうがないな」

 子吉沢は本を受け取った。

「そ、それじゃ……」

 田脳は一目散に走って行った。

 子吉沢は何気に本を眺めていた。

「あっ!」

 子吉沢は本を見て驚いてしまった。理々の本だったからだ。『罪と罰』である。盗んだのは田脳だった。
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