ノックの音
うすいピンクと白を基調とした女子トイレは、
人の気配がなくひっそりとしている。
わたしは、電気をつけると一列に並んでいる個室のうち、
手前から4番目の個室にはいった。
便座カバーに腰をおろすと、
ケータイをいじり始める。
ここに来る理由は、簡単に言えば暇つぶしだ。
ついていけない会話を聞き流し、
ただそこに座って、
黙って騒がしい教室にいるより、
ここにいた方が落ち着くから。
何よりも、ひとりで居るところを誰かに見られたくなかった。
そんなわたしにとって、
この場所は絶好の暇つぶし場所になっている。
我ながら、寂しいコだと思う。
でも、わたしはクラスで孤立しているワケではない。
友達はもちろん居るし、
引っ込み思案でもない。
休日には友達と遊ぶこともたくさんある。
ただ、どうしようもなく昼休みが苦手なのだ。