Bコース
悟、お金出し過ぎだよ。


私、まだ一円も返してない。


「それから、夜働きに行く時は、保育園へ二人預けるようにって言ってました。
話しはしてあるからって。」


何から何まで、悟にお世話されている。


もう悟がいない生活が、考えられないぐらい。


「じゃ、俺帰りますね。
あんまりしゃべるなって言われてるんで。
悟、独占欲強すぎですよね。」


そう言うと、立川くんはクスクス笑いながら帰って行った。


独占欲って。


悟、ヤキモキなの?


悟に会いたい。


大丈夫なのかな、入院って。


あれ、……うそでしょう。


私、悟の入院している病院聞いてない。


慌ててドアをあけるが、立川くんはもう見えない。


悟にうつしたの私なのに。

看病したいのに。


何やってるんの私。


一人暮らしって言ってたのに。


「おかあさん、ちはるシュークリームいまたべちゃだめ?」


千春を見れば、顔に『シュークリーム』って書いてあるみたい。


「そうだね、今日は好きなもの食べちゃおうか。」


今は、この子たちに夕飯食べさせなきゃ。


私は立川くんを追い掛けるのを諦めた。
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