俺様保健医の甘い罠《fin.》


普通のゲージの中に入れられてるワンちゃん――…キョウを見ると、同じようにウチを見上げてくる円《つぶ》らな瞳。



かわいすぎや~!!



そのまま久世がゲージを持って、家まで帰った。



「……あ」


「どうした」


「く、久世……買い物、は……?」


「してねぇ」



で、ですよね~……。



やってしまわれた!!



外出した当の目的を果たさずに帰ってきてしもた…。



て言うより、何のために外出したんかすら忘れてしまっとった……。



「ご…めんね?」



黒の長ソファに座って煙草を吹かす久世に近づいて、ショボンとうなだれた。



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