アニマル☆バカリズム
「いつかヨーグルトに埋めてやる」

「まぁまぁ」


 我慢ならず口から漏れてしまった。笑顔のレックスに宥めてられ、イライラしていた気持ちも少し和らぐ。コイツが人気の理由、わからない事もないかもな……。


「ほら、ヨーグルトあげますから」

「お前も仲間かぁあ!!」


 俺はレックスが差し出してきたヨーグルトを掴み取り、思いきり投げ捨てやった。ちょっと認めかけた俺が馬鹿だった。やっぱりコイツはアホだ天然だマヌケだぁあぁあ!! ここまで短時間の間にヨーグルトって言葉を聞いたの始めだよ。名前がヨーグルトさんでない限りきっとないよ。もうトラウマだよ。


「背、伸びますよ?」


 レックスはどこから出したのか、またヨーグルトを持っている。しかも両手に。


「いらない」


 俺は首を大きく横に振る。身長は確かに周りよりは低いけど……。でも、ヨーグルトに頼るほど男は廃ってないつもりだ!


「今日、身体測定ですよ?」

「いただきます」


 たまにはヨーグルトも良いもんだ。え? さっきと言ってる事が違う? んな事いちいち気にしてたら、人生の分岐点とかに気付けませんぜ。

 俺はヨーグルトの蓋を開け、さっそく食べようとスプーンを口に運ぼうとした……のはいいけど、さっきから物凄く黒ーいオーラを感じる。黒いっていうか殺気というか。目線で背中をグサグサ刺されてる気がする。


「ねェ……今、僕に向けてヨーグルト投げたのはどっち?」


 背後から鈴のような凛とした声色が聞こえた。鈴のはずなのにめちゃめちゃ耳に響くんだけど。この声は会長の声だ。さっきの黒いオーラと刺すような目線は会長のものだったみたい。

 俺はどうか怒ってません様に、って祈りながら振り向いた。まァ、黒いオーラでだいたい祈りが通じてないのはわかりきってるけどね。


「あ、会長おはよ……う……?」


 振り返って会長に挨拶したのはいいけど、ちょっと疑問が一点。なんで会長は頭からヨーグルトを被ってるんだろうか。ツッコミ入れて欲しいのか、それともファッションか。

 ……待てよ? ヨーグルト×機嫌の悪い会長+刺さる様な目線=……

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