涙の枯れる頃

私の返事を聞いた日向は、部屋を出て行った
「んじゃ、ちょっと待っとけ。俺が作ってやる」
ぇ…? 日向料理出来るの?
……意外過ぎる。
それに、優しいじゃん。

本当に…意外な事が多いな。

温かい手を持ってて…
低く優しい声で…
甘く、とろけちゃいそうな香りに…

凄く…居心地がいいんだ。

日向が出て行った部屋は、一気に静まり返って、孤独感が溢れてきた
「……一人は、イヤだな」

私は…
いつ、一人が嫌になったんだろう。

昨日まで、“1人”が普通の事だったのに…
今日の今日、
あなた達に出会って、心が揺れ、昨日までの私が、次々に崩されていく。

ベットから起きあがって、ふら付く足取りでキッチンに向かった

キッチンに近づくにつれて、いい匂いが漂ってきた


「……日向ぁ」
「…病人は大人しく寝とけよ」
日向は私に気づくと、近づいてきた

「…イャだ」
「…怖いのか? 此処にお化けなんかいないぞ?」
違う。お化けは怖くなんかない。
1人に…1人になる事が怖いの。

もう、1人はイヤなんだ。

私の目に、熱い物が込み上げてきた
「…寂しい……から」
日向は困った顔をした

「…お願い。……一人にしないで…」
私は日向の服の袖を掴んで、日向を見上げた


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