殺人ビル
目を覚ました。まず目に入ったのはコンクリートの天井と薄暗い電球だ。
「!?」
起き上がり周りを見渡すと鉄格子でガッチリと閉められた扉、あとはコンクリート製の壁と床しかない。
(どうなってる?)
立ち上がろうとすると頭がズキズキと痛む。
(俺の名前は?)
不意にそう頭に浮かんだ。名前がわからない。ここがドコかも分からない、名前も顔も住んでいる場所も分からない。なにも分からない。怖い。

ーガシャン

突然鉄格子で閉じられていた扉が開いた。すこし状況が理解出来ずに棒立ちひなっていたがすぐに扉から廊下に出た。10分ほど走ると大きな赤い扉があった。映画館によくある感じの豪華な扉、それは灰色のコンクリートの壁に似合わず、妙に目立っていた。だかそれだけに中になにが有るのか無性に気になる。彼は少しためらったが他に道も無いので思い切って扉を開けた。

そこにはー
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