MAIL
新幹線乗り場の改札の前でうつむいて立っている圭矢さんを見つけるとそのまま人目も気にせず抱きついた

涙が出てくる
息が苦しいわけじゃない
でも胸がきゅーっと痛くて泣いた

圭矢さんも私をぎゅっと抱きしめてくれた

「好き」

思わず我慢し切れなくて言ってしまった

圭矢さんの抱きしめる力が強くなって

「俺も」

そう言ったように聞こえた

「今なんて?」

「俺も好きって言ったの」

圭矢さんが真っ赤な顔で答えた

きっと今私も真っ赤な顔してる

嬉しい…

でも


「なんで…なんで東京にいるの?」

「お前こそ何で東京にいるんだよ また会おうって約束したのに」

「…何でって 圭矢さんにふられたから…」

「は?何で俺が?ふった覚えないけど」

「京都駅で女の人と楽しそうに腕組んでホテルの部屋に入って行った」

一瞬沈黙

「彼女とは…わかれてきたから」

え?

「彼女と付き合ってたの?」

「そういう仲じゃないんだけどもう会わないから」

「ほんとに?」

「ほんとに」

「信じていいの?」

「信じろよ」

そういって私のこめかみをぐりぐりされた

「痛い!」

さっきまで悩んでいた事がウソのように晴れて穏やかな気持ちになった

「これからどうするの」

「京都に帰る」

「えっ帰っちゃうの?」

やだよ
今会えたばかりなのに

「じゃあ泊めてくれる?」

圭矢さんが私の顔を覗き込んで笑った

火が吹いたように顔が熱くなって

真っ赤な顔でうなずいた



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