MAIL
「みんな今日で伊藤さん辞めるから6時までにアドレス交換とかしたい人は今のうちにするように」

トイレから帰って来たタイミングで柴崎さんが皆に言った

「だから泣いてたんっすね」

純ちゃんがそういうと皆口々に「淋しいです」といってくれた

泣いた理由を知っているのは柴崎さんだけ…

これが柴崎さんの優しさ

本当に柴崎さんはいい人だ

「あっでも伊藤さんは絶対また遊びに来るから」

そう皆に言って柴崎さんが笑い出した

バイトに顔出しやすくしてくれたのかな?

そこまで気を使ってくれるんだこの人はやっぱりすごい

「みなさんお世話になりました。ありがとうございました」

と声をかけて最後の仕事をはじめた

柴崎さんが私の肩をポンと叩いて後ろの自分の席に座って仕事をしだした

どうして柴崎さんじゃ駄目だったんだろう

安心するのは柴崎さん

でも今は一緒にいてドキドキする圭矢が好き、そう思う

柴崎さん本当にごめんね

でもあなたに会えて本当に良かったよ

バイトが終わった

皆が拍手でさいごを見送ってくれた

外に出てビルを振り返る

何だかこのビルがやたら懐かしいそんな気がする

ふと見ると

柴崎さんが窓から私を見ていた

柴崎さんに敬礼した

柴崎さんも軽く私に敬礼してくれた

心臓がぐっと痛くなって

泣くのをこらえながら

そのまま走って家に帰った




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