思いを手のひらにのせて
voice2 扉を開けて
  『扉を開けて』

それからの1週間は瞬く間に過ぎた。

少し後ろめたく、
それでいて楽しみな金曜日を迎えた。

わたしは約束通り、
幸太と待ち合わせ合流した。

幸太と同じ駅で降り、一緒に歩いた。
 
サークルの会場に着くと、
すでに20人くらいの人が集まっている。

その中には健聴者だけでなく、
聴覚障害者も何人かいるのがわかった。
 
ドラマなどで手話を見たことがあったが、
本物の手話を見るのは初めてだった。

聞き取りにくいしゃべり方で、
言葉と同時に手話を使う人もいる。
全く声が出ておらず、
手話だけのコミュニケーションの人もいる。

「サークルの会員を増やすために、
時々こういう学習会をやるんだ。
自分達で主催してね」

幸太がそう教えてくれた。 
 
学習会が始まると、グループに別れ、
簡単な手話表現を教わった。

わたしはぎこちないなりに、
懸命に手を動かした。
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