私は先生のお嫁さん
篤哉Side

急にまた悲しそうな顔をし始める千里。
コイツは今、何をそんなに悲しんでいるんだ…?

ん……?
や、やべ…!今度は泣きはじめた!?
コイツの涙は見たくねぇ。

てか、俺らに涙がばれないように必死ですって…もろ顔に書いてあるし。

……俺がこの子を守れたら…。

気がついたら俺は千里を抱きしめていた。

その時だ。全く、タイミング悪すぎ…。


「どうしたの?

やだ!泣かないで?
篤哉…泣かしたわね?」

おい、お前空気読めよ…って、なんで俺だよ!

…つかなんだ?あの、不気味な黒い笑顔は……。

「や…その…待て!お……俺は…ッ!」

俺は急いで千里から離れてゆっくり後退りしながら逃げ道を探した……。


「やれ!……佳那。」

はぁ?おい、悠李ふざけんなよ!
てかその冷静な顔で言われると地味に怖いんですけど…。

「了解!」

「イッテェ―――!」

アイツ…絶対女じゃない。蹴りもパンチも早すぎ。しかも力も強すぎ…!


「ふん!
自業自得だよ!馴れ馴れしく千里には抱き着くし!
千里泣かしちゃうし!」

「だ…だから、
俺のせいかよ―……。」

俺がいつ千里を泣かした?

「あんた以外に
誰がいるわけ!!
全く……。」

“…いるんだよ。
俺以外で、千里の心を射止めて
泣かせる奴がさ…。

たった、一人……。

誰かは……わかんねぇが…。”

「なんか言った?」

「いや、なんでもない(笑)」


こりゃ、何を言ってもダメだな…(苦笑)

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