不器用な君等の唄へ


目が合った。
完全にこっちを向いていた。

しかも…

「悲しそうな…目…。」

さっきから校舎裏の水飲み場で唇をゴシゴシと洗っている。

気持ち悪い。

いっそのこと、この唇ごと切り離してしまいたいくらいだ。

雪比良に軽蔑されたかもしれない。

尻軽女だって…結局誰とでもそんな事するのかって思われたかも。

無駄に出ている水しぶきが顔にかかる。

体調も気分も悪くなる。

腕で唇を拭う。

「…止めろ。」

血の気が引いた。

止めたくはなかったけど強引に腕を引っ張り上げられる。



< 52 / 150 >

この作品をシェア

pagetop