隠す人


「・・・私を追い出すためにドアを開けた社長が、慌てて私に駆け寄ってきました。

外に引きずり出されるのかと思い身構えたのですが、そうではなく・・・

突然私を、抱きしめたんです。

同時に銃声が聞こえましたが、

あまりにも突然の出来事で、

何が起きているのか、なぜそうされているのか分かりませんでした。

尋常ではない強い力で押さえ込まれて、

私はただ、されるまま突っ立っていました。

社長はそうしながら、たった一言だけ言いました。

『じっとしてろ、何も見るな』と」



「・・・それが、あなたが隠していた真実、ですね?」

二宮が、静かにうなずいた。

一島社長に残された銃痕が、全て同じ角度だったこと。
それが物語っていたのは、共犯者の存在などではなかった。
社長が強い決意で守り抜いた、大切な者の存在だったのだ。


二宮が、原田刑事をまっすぐに見た。
その目に、もはや迷いはなかった。

「お二人に、渡したいものがあります。今夜8時、地下2階の駐車場で」




(7.大切ナモノ 終)


< 69 / 88 >

この作品をシェア

pagetop