甘い香り



「はー行き苦しかった;
 とりあえず、教室入れたね」


「うん、脱出成功★
 ………あっ」



千帆里が突然、窓際を指さす。


「ん?」


指した方を見ると
一つの机を女子が囲んでいた。

女子が多すぎて
そこの席の人が全く見えない。



「あたし、
 ちょっと見てくる」


「じゃあ、
 あたしここで待ってるね」




千帆里は中学のとき、
男子に無理矢理キスされてから
男の人がだめになった。

まぁ、
千帆里はモテるから
嫌でも男子が近づいてくるんだけど。





女子の間から顔を出す。


「うわっ!!超美少年っ」


思わず声が出た。

寝癖のついた黒髪。
少しだけ焼けた肌。
笑顔がすごく似合う。


もろ、あたしのタイプだった。



             
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