甘い香り



「あっあの!
 名前教えてくださいっ」


勇気を出して
その男子に話しかけると
振り向いてにこっと笑った。

やっぱり、
笑顔似合うな…



「俺は田沢俊(タザワ シュン)。
 君のこと、
 中学の時から知ってるよ」


「えっ…?」




中学…?
中学の時の
男子の顔を思い浮かべる。



…でも、
どんなに思い浮かべても
中学に俊くんはいなかった。


こんな
かっこいい人が同じ中学にいたら
あたしだって気付くはずだ。





「…ちょっと待ってて」


千帆里だったら知ってるかも。




「ねぇ!千帆里。
 中学に田沢俊って男子いたっけ?」


「いたよ」


『ほらね』



俊くんが
こっちに歩いてくる。


「ごめんなさいっ
 あたし忘れてたみたいで…」


「いいよ。
 中学の時は暗かったし、
 覚えてないのは仕方がないよ」


             
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