カジュアルロンド
朝起きると洗面台で念入りに歯磨きをし、不精髭を剃った。
鏡台の前で服装の乱れを整えて準備万端。

ゲーテの詩集に手を合わせ祈った。
どうか何か起きますように、と。

外は絶好のデート日和。暗号の探索を終えた後は、カラオケに誘おうと考えていた。

土曜日の午前10時。約束の30分前に花屋の前に到着した。

携帯に子犬のストラップ。肩までの髪。
この子かな、この子かなとそれらしき女性が通る度に凝視するので、何度か怪訝そうな顔で睨まれた。

約束の時間を過ぎてもカナは現れなかった。
携帯にメールをしても返事がない。
どうしたのだろう。

僕は待ち続けた。

やがて午後3時が過ぎた。
昼も食べずにかれこれ5時間待ったことになる。

花屋の女性店員が気の毒そうな、不思議な表情で僕を見ていた。

僕はカナが現れることを祈って待ち続けた。

結局、8時間待ち続けた。
少し涙目になりながら。
何か来られない理由があったに違いない。
そう思い急いで家に戻った。

でもゲームの世界にも、カナが現れることはなかった。
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