知らなかった僕の顔
ただでさえ汗をかくことが嫌いな僕が、健康ランドでわざわざサウナになど入るつもりは一切なかった。


なのに今こうしてサウナで大量の汗をかいているのは、矢島さんに無理矢理引っ張りこまれたからだ。


いくら近所の健康ランドとはいえ、矢島さんに偶然出会う確率の高さを呪う。


定員4名の狭いサウナには僕と矢島さんの他に、でっぷりと太ったオヤジがいた。


オヤジは時折チラチラと、矢島さんの鍛えられた体を盗み見ている。


このオヤジが、どういうつもりで矢島さんを見ているのかはわからないが、確かに男から見ても惚れぼれとする体ではある。


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