知らなかった僕の顔
バイト初日から親しく話しかけてくれた阿部ちゃんは、高校を中退して働いている十八才だ。

「宮田くんて、今日で三日目だっけ?」

「三日目だね」

「なんかもう普通に馴染んでるよねー」

「あー…阿部ちゃんがよくしてくれるからね」

「私、なんにもしてないよ、喋ってばっかで。つかさー…ここに一年もいるとね、刺激ってもんが全く見つからないのよ。カケラもないのよ」

「やだよ。刺激のあるケーキ屋なんて」

「なはは。そうじゃなくてー、代わり映えしない人間関係っていうの?良くもなく悪くもない、この日常?どーよ、これ」

「…みんなそんなもんなんじゃないの?」


阿部ちゃんがニヤリと笑った。


< 20 / 203 >

この作品をシェア

pagetop