奈良の都の妖しい話
別れと出会い、そして…
「…東宮さ…いえ、宮様。御加減はいかがですか?」

「今日は大分良い…。…貴女には済まないことをしたな…。」

「宮様のせいではありません…!全て宮様が望まれてこうなった訳ではありませんから…。」

「それでも…私がもう少し丈夫だったらこんなことにはならなかった…。」

「宮様…。」

「…そんな顔をしないでおくれ…たとえ出家しても貴女のことは忘れないから。」

「どうしても…そのお考えを改めることはないのですか?」

「ああ。……今だから言うが…。」

「はい…?」


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