奈良の都の妖しい話
「白華…。」

「…胸騒ぎがしてな…む、これは毒が鏃に塗ってあるな。」

「毒!?」

「しかも…やっかいなことに、俺達妖怪の血を引くものを暴れさせる為の…興奮薬とでも言おうか。」

そう言いながら、白華は黒矢の足から矢を抜いた。

「姫、離れろ。」

「でも…」

「早く!…じきにこいつは暴れ出すぞ!」
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